インフォメーション

トピックス

2025/08/05

【能登半島支援】能登に届ける、東北のぬくもり ―「みんなのサロン」がつなぐ笑顔と交流

震災から1年半が過ぎた能登の仮設住宅で、東北の生協による「みんなのサロン」が開かれました。
郷土料理や手づくりキット、そして会話を通じて生まれたあたたかなつながりを、現地の声とともにお届けします。


仮設住宅にぬくもりを届ける「みんなのサロン」
7月14日、石川県穴水町・港町団地仮設住宅集会所で、「みんなのサロン」が開催されました。
この取り組みは、能登半島地震の発災直後から支援活動を続けてきた東北6県の生協によるもの。今回は、いわて生協、生協共立社、コープあいづ、みやぎ生協、コープふくしまの5生協が合同で企画・実施しました。
震災から1年半が過ぎた今も、仮設住宅での暮らしが続いている方々がいます。そんな日常の中で、少しでも心がほどけるような時間を届けたい。
その思いを胸に、今回は東北各地から11名の組合員・職員が集まりました。
東日本大震災で全国から受けた支援への感謝を込めて、「今度は自分たちが恩返しを」。このサロンも、そんな思いから生まれた支援のかたちです。

サロン開始前、自治会長さんと相談のうえ、仮設住宅を一軒ずつ訪問しお誘いに。

サロン開始前、自治会長さんと相談のうえ、仮設住宅を一軒ずつ訪問しお誘いに。



開会のあいさつでは、参加した5つの生協に加え、物資を届けてくれた他の生協の紹介も行われました。

開会のあいさつでは、参加した5つの生協に加え、物資を届けてくれた他の生協の紹介も行われました。



東北6県、各生協から届いたお菓子や民芸品で会場が賑わいました。

東北6県、各生協から届いたお菓子や民芸品で会場が賑わいました。

 


宮城と石川の味が出会う食のふるまい
この日のふるまいは、宮城県の郷土料理「おくずかけ」。
温麺(うーめん)と野菜、きのこを煮込み、とろみをつけた精進料理で、宮城では夏の定番として親しまれています。

宮城県の郷土料理「おくずかけ」。ほっとする味わいでした。
使用した白石温麺は油を使わないため、おなかにもやさしく、年配の方にも好評でした。
仮設の集会所には、だしの香りがふんわりと立ちのぼり、「ほっとするね」と笑顔がこぼれます。

「美味しかったよ、ありがとう」の言葉に、笑顔がこぼれます。

「美味しかったよ、ありがとう」の言葉に、笑顔がこぼれます。



手作りキットをいっしょに。自然と会話も弾みます。

手作りキットをいっしょに。自然と会話も弾みます。



見守りと会話が、日常の支えになる
この日、会場の運営を支えていたのが、ささえあいセンター穴水(穴水町社会福祉協議会)の職員の方々です。
震災から時間が経ち、暮らしの再建に進み出した方がいる一方で、いまだ見通しが立たず、不安を抱えたままの方も少なくありません。被災者一人ひとりの状況に、大きな差が生まれているといいます。「ようやく工務店が見つかったものの、家の状態が悪化していて、当初予定していた修理ではすまない。その結果、泣く泣く解体に踏み切った方もいます」
仮設住宅での見守りは今も続いていますが、特に心配されているのは、一人で部屋にこもりがちになってしまう高齢の方々です。
「この暑さなので、エアコンをつけて過ごしてくださいねと声をかけていますが、その場ではうなずいてくれても、外の室外機が動いていないこともあるんです」。プライバシーの問題もあり、強く介入できない歯がゆさもあります。それでも、「できるだけ話しかけて、見守りを絶やさないようにしています」。その言葉には、寄り添い続ける静かな覚悟がにじんでいました。
また、サロンに足を運んだ仮設住宅の女性はこう話してくれました。
「仮設の部屋では、ついテレビばかり見てしまう。暗いニュースばかりが目に入って、気持ちが沈んでしまうんです。ここに来れば、誰かと話ができるから」
何気ない会話や、ちょっとした交流のひとときが、日々の暮らしを支える大きな力になっていることを、改めて感じさせられました。

テーブルを囲んで、あたたかなふるまいの時間。

テーブルを囲んで、あたたかなふるまいの時間。



これからも、一人ひとりに寄り添う場を
「みんなのサロン」は、東北の生協が協力して今年度は年4回(4・7・10・12月)開催します。